Posted by 塩ラーメン - 2007.11.10,Sat
晴れ、気温6度。
朝一番で小樽に向かう。SRは寒くなるほど始動性良し、加速良し。
ハンドルの角度を少し変えてポジションも良し。頬と首筋への風は冷たすぎるけどそれもまたいいさ。
実家に着いてSRを停めると、通りの向こうから買物帰りの母親が俺を見つけて走ってきた。走らなくてもいいのに。名前なんか呼んでさ、大袈裟だな。
体が冷えていて、少し歩きたかったから、近場のスーパーに買物に行く。牛乳とビールとウコンとさつまいも。いつも発泡酒ばっかり飲んでる飲兵衛の親父にお手軽親孝行気取りでスーパードライを買ってきた。酒ばっかじゃなんだから、寝覚めすっきりウコンも買った。
昼になり、飯を食いに戻ってきた親父も交えて食卓を囲む。
玉子焼き、ソイの煮付け、ロールキャベツ。自分が釣ってきたソイの煮つけを前に得意そうな親父。手作りのロールキャベツを褒められて得意そうな母親。会話は滑らかに、穏やかに進む。
飯を食べ終え、テレビの前の座椅子に座る親父。母がその肩に手ぬぐいをかけた。なんだろうと思っていたら、いつものことのように肩を揉み始める母。タバコを吸いながらその様子を見ていた。慣れた手つき、黙って揉まれている親父。仲が良いとか悪いとかそんな物差しはバカバカしくて、言葉も感情もなんだかもうアホらしくて、子供の頃一度だけ、親父が夕日を見るために配達中の車を停めたことを思い出した。あの時の気持だ。
俺の中のミス・マーサ・ミーチャムが目を覚まし、ふっと沸いてくる、この姿を守りたいと思う傲慢さ。力をつけてから思え。
テレビに屋久島が映る。
「そういえばあんたここにも行ったんだっけ?」
「行ったよ、いいとこだった。」
「いい経験したしょ、一生の宝だね」
「もちろん」
「もうほら、日本一周なんてできないんだしね」
「またやるよ」
「あんたならほんと…。バイク気を付けなさいよ」
「分かってるよ」
親父が口を開く。
「30年か」
「何が?」
「ほら、結婚してってこと」
母親が口を挟む。
驚いた。そりゃそうだ、考えてみれば30年だ。なんだその量は。
俺が生まれてから今までずっとこの二人は一緒に暮らしてるんだ。当たり前の事実だけど言葉になって耳に入り、脳に響いてはっとした。あぁ、この二人は一人の男と女なんだ。混ざってできたのが俺か。それが精一杯。御託は無用。揃いも揃って不器用だけど、ここに悪意はない。
帰り道、昼過ぎだというのに自分の影が歩道まで伸びていた。
冷たい風と、背中を僅かに温める日光。今日は温かいものを食べて風呂に入り、体も芯から温めよう。雪が降る直前のささやかな贅沢。
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